FX初心者にとって、非常に重要なテーマ「損切り」。含み損を抱えている状態で保有しているポジションを決済し、自ら損失を確定させることをいいます。
自分でわざと損失だしちゃうって…もしかしてバカなの?
…保有ポジションの価格が下落して、為替レートの回復が見込めないと判断した場合、そのまま保有し続けたら、さらに下落して損失が拡大する可能性もありますよね。
そんなときに損切りすることで、それ以上損失が膨らまないよう対策することができるのです!
実は損切りができないのは、初心者の典型的な失敗パターンとして広く知られています。
損失を抱えている状態で決済するなんて、めっちゃ勇気がいりそうだなぁ
損切りの目安や徹底させる方法まで、詳しく解説していきます。
人はなぜFXで損切りできないのか?
「プロスペクト理論」とは?
損切りできない理由に関しては、行動経済学のプロスペクト理論が大きく関係しています。
プロスペクト理論とは、確率が分かっている状況において、人がどのような意思決定をするかをモデル化したもの。
例えば、以下のようなケースに該当します。2つの質問をしますので、A・Bどちらかを選んで回答してみてください。
ケース1. 利益の場合
あなたが下記2つの選択肢を提示されたら、A・Bのどちらを選びますか?
無条件で10万円プレゼントします。
コインを投げて、表が出たら20万円プレゼントします。裏が出たら、何もあげません。
ケース2. 損失の場合
今あなたが20万円の借金を抱えているとします。下記2つの選択肢を提示されたら、A・Bのどちらを選びますか?
無条件で借金を10万円免除します。
コインを投げて、表が出たら借金を全額免除します。裏が出たら、借金は20万円のままです。
コインが表になる確率も裏になる確率も2分の1ですので、ケース1では選択肢ABともに期待値は+10万円、ケース2では−10万円です。
ケース1でAを選んだ人ならばケース2でもAを選びそうですが、ケース1でAを選んだ人の多くがケース2ではBを選んでしまうということが実証されているのです。
利食いは早く、損切りは遅くなる理由
私たちは知らず知らずのうちに、利益の場合は利益の確保を優先、損失の場合は損失自体の回避を優先しています。
これを、損失回避バイアスといいます。
FXでも同じような理由で、10万円の含み益が出ていたらすぐに利確したくなりますが、10万円の含み損の場合は損失自体を回避するためになかなか損切りできなくなってしまうのです。
FXではいくらで損切りしたらいい?目安・タイミングの判断方法
「損した過去」を一旦忘れる
FXではなく株式投資の話なのですが、ホリエモンこと堀江貴文氏の「多動力」という本に損切りの目安について語られている部分があったので紹介します。
FXにも株式にも恋愛にも人生にも通じる考え方なので、ぜひご一読ください。
藤野さんが「損切り」についてしていた話がおもしろかったから紹介しよう。
あなたが1000万円で買った株が200万円になりました。
売るべきですか? 売らないべきですか?
みなさんはどう考えるだろうか。
これは東電株の話だったが、ここで重要なのは、800万円の損をしたことはとりあえず忘れるということだ。
そして、フラットな目で、今から東電の株を買うとしたら200万円出すに値するのか、それとも200万円あるならば、他の株を買ったほうがいいのかを考えることだ。
800万円の損をしたということは、ただ感情の問題であって、株の価値には本来まったく関係のない話だ。
だから、売るべきか、売らないべきかの判断にはそれをもちこんではいけないのだ。
引用元:多動力
つまり、損切りする場合は「損した過去」を一旦忘れ、今現在の価値で考えるべし!ということですね
彼女や奥さんに損切りされないためには、今現在の価値を磨き続けるしかないようですね…(彼女も奥さんもいないけど)
また、「これまで下がり続けてきたのだから、今度は上がるだろう」と安易に考えるのも禁物です。
確率だけで考えると、未来に上がる可能性も下がる可能性もそれぞれ2分の1。過去の結果とは独立しているのです。
例えば、コインを投げて10回連続で表が出たとします。
多くの人が「これだけ表が出たのだから、次こそは裏が出るだろう」と考えるでしょうが、冷静になって考えてみると、11回目に投げるコインも表裏が出る確率はそれぞれ2分の1。
単に「下がり過ぎているから」「上がり過ぎているから」という理由で損切りをためらっていると、次第に収拾がつかなくなってきてしまうので要注意です。
チャート分析ツールを確認してみる
「損切りした途端に反転した…」という悲劇を避けるためには、FX会社が無料で提供しているチャート分析ツールを確認してみるのもおすすめです。
こちらはヒロセ通商(LION FX)の分析ツールですが、過去のデータの中から近似したものを抽出し、自動で為替予想をしてくれます。
まだテクニカル分析が覚えきれていない初心者の方は、損切り前に確認してみるのもいいかもね
「まだ目に見えていない損失」にも目を向ける
損切りについて色々と偉そうに語っている私も、実はかつて膨大な含み損を抱え続けたことがあるのですが…。
そういうときって、頭の中では「フフン、このくらい想定内だぜっ」なんて強がって自分に言い聞かせていても、体はめっちゃ正直なんですよね。
含み損の金額を目にする度に、寒くないのにガタガタ震えて足からスーッと力が抜けていくみたいな状況が続いていました。
そんな状態で色んなテクニカル指標をチャートに重ねてみたり、色んな証券会社の予想レンジをググって調べてみたりなんかしても、冷静な判断ができるはずがありません。
「よし!こっから上がってくるはずだから、損切りはしないで耐え続けよう!もう決めた!!」なんて決意した数分後には、証券会社のネガティブな予想を目にして「えええ…、やっぱり損切りするなら今しか…」と一転して弱気になるというサイクルを永遠と繰り返していました。
そのときの自分を振り返ってみると、目先の含み損ばかりを気にして別の部分でも見えない損失が膨らみつつあったなと。
例えば、職場の人とか家族との関係性とか。自分では普通にしているつもりでも、ふとした瞬間に不安とか恐怖とかが滲み出てしまってたのでは?と思います。
「FXでも含み損抱えてるし、人間関係もうまくいかないし、最近はもう悪いこと続きだ…」って場合は、悪いことが偶然重なっているわけでなく、もしかしたら含み損を抱えている精神的に不安定な状態で人と接することで、必然的に負のスパイラルに陥っている状態なのかもしれません。
そういうときって大抵自分では気づけないだろうから、ようやく気づいた頃には手遅れ…ってこともあるかも?!
それこそ彼女や奥さんに損切りされる可能性もありますので、管理画面の評価額だけでなく自分自身の状態も客観的に捉えた上で「このまま含み損を抱え続けるのが本当に正解なのか」を自問自答してみましょう。
FXで損切りを徹底させる3つの方法・コツ
トータルで勝つことを意識する
FXは勝敗の回数ではなく、合計での利益額が重要です。
- 5勝3敗→合計でマイナス
- 3勝5敗→合計でプラス
この2パターンの場合、当然後者の「3勝5敗→合計でプラス」の方が儲かります。
つまり、損切りによって損失を最小限に抑えることができれば、合計でプラスを狙うことが可能です。
FXでは、それぞれのポジションで勝つことも大事ですが、それ以上に損失を最小限に抑えることがトータルでの勝敗を分けるともいえます。
あらかじめ損切りを設定しておく
損切りを徹底するには、逆指値注文を設定しておくのが有効的です。
逆指値注文は、許容できる損失の限界点を決めて、それ以上の損失が出た場合に自動で損切りを行ってくれる注文方法。
実際に損失が膨らみ始めてからでは判断力が鈍るため、あらかじめ設定しておきましょう!
上の動画は、外為オンラインの指値・逆指値の注文方法を解説したものです。
自動で損切りしてもらう
「許容できる損失の限界点」って言われても、実際にどこまで許容していいのかわからないんだよなぁ…
そんなあなたには、自動売買(システムトレード)がおすすめ!
自動売買とは機械が自動的にFX取引してくれるシステムのことで、「システムトレード」とも呼ばれています。
勝手に最適なタイミングでトレードしてくれるので、私たちトレーダーは基本的に放置でOK!
システムが自動的にプロさながらの取引をしてくれるという優れモノなのです。
自動売買の場合は、常にシステム通りに理性的なトレードをしてくれるので、なかなか損切りができない方におすすめです。
初心者の方が自動売買を使うと、
「え〜!もう損切りしちゃうの?!これから上がってくるかもしれないのに…」
「こんなに利益が出てるのにまだ決済しないの?!下がる前に早く利確してくれー!!」
…なんて思うかもしれませんが、結果的に自分で裁量トレードするより利益が多く出る可能性が高いです。
自動売買は、損切りのメンタルを養うためにもおすすめですよ。特に初心者のうちは、頼れるものにはしっかり頼っていきましょう!
まとめ
- 損切りができないのは、初心者の典型的な失敗パターン
- FXはトータルで勝つことが大事
- 損切りするタイミングは「損した過去」を一旦忘れて考えよう
損切り以外の典型的な失敗パターンについては、下記のページも参考にしてみてくださいね。