ロスカットとは、保有しているポジションの損失額が大きくなっているとき、さらに損失が広がるのを防ぐために、FX会社側が強制決済する仕組みのことです。
名前からしてなんだか怖いイメージがありますが、もしこのロスカットがなかった場合、FX口座に預けているお金を全額溶かしてしまうどころか、追加で支払いをしないといけないことにもなりかねません。
私たちトレーダーの資産を守り、多額の借金や破産を未然に防ぐための大切な仕組みなのです。

ロスカットって、そんな大切な仕組みだったんですね!てっきり業者側の嫌がらせかと思ってましたわ
ただし、意図しないタイミングで強制的に決済されてしまうため、逆に大損してしまう場合もあります。
以下、ロスカットの仕組みや未然に防ぐ方法、FX会社別のロスカット値についても比較しながら紹介します。
ロスカット値の計算方法
ロスカット値は、証拠金維持率(有効比率)によって判断されます。
証拠金維持率とは、取引に必要な証拠金に対する資産評価額の割合のこと。計算式は以下の通りです。
つまり、FX口座のお金が時価評価でどのくらい残っているかで判断されるわけです。
各FX業者のロスカット値・ルールを比較
証拠金維持率が何%でロスカットされるかのルールは、FX業者によって異なります。
以下、各FX会社のロスカット値(証拠金維持率)の一覧です。
FX会社 | ロスカット値 (証拠金維持率) |
---|---|
![]() | 100%以下 |
![]() | 100%以下 |
![]() | 100%未満 |
![]() | 100%以下 |
![]() | 100%~50%未満 (10%刻みに自身で設定可) |
![]() | 【 L25R】100%未満 【 L25】20%未満 |
![]() | 100%未満 |
![]() | 50%を下回った時 |
![]() | 50%以下 |
![]() | 50%以下 |

ロスカットルールって、会社によってずいぶん違うんだねぇ…?
外為どっとコムでは、自分でロスカット値を10%刻み(100%~50%の間)に設定することができます。管理画面から簡単に変更できるので、「最初は100%で始めて、慣れてきたら徐々に下げていきたい」という場合にも最適です。
中には外為オンラインのように、選択するコースによってロスカット基準が異なる場合もあります。
↑このように、外為オンラインでは口座開設時に最小取引単位やロスカット基準が異なる4つのコースから選択できます。
「L25Rコース」と「L25Rminiコース」のロスカット値は証拠金の100%、それ以外のコースは20%となっており、証拠金を判定する頻度も異なります。
ほとんどのFX会社ではロスカットされても手数料などはかからないのですが、GMOクリック証券では1万通貨単位あたり500円(税込)の手数料が発生します。

強制決済された上に手数料も取られるとは…!まさに踏んだり蹴ったりって感じですね
何千万円もの大金を取引している専業トレーダーからしたら微々たるものかもしれませんが、初心者にとっての500円は踏んだり蹴ったり殴られたりすっ転んだりといった感じですよね。
ただし、ロスカットはあくまで最終手段。ギリギリの状態で無理な取引をしないためにも、多少の手数料があってもいいかもしれません。
ロスカットとマージンコール(追証)の違い

FX会社からマージンコールっていうのがメールで来たんだけど、これってロスカットとは別モノなの?放置しといていいのかな?
マージンコールとは、一定以上の損失が出た場合、FX会社がトレーダーに「そろそろ口座のお金が少なくなってきましたよ〜」「早めに追加の入金をしてください」と警告する仕組みのこと。
FX会社によっては「アラーム通知」「追証(おいしょう)」などの名前で呼んでいる場合もあります。
マージンコールはあくまで警告であり、サッカーに例えるとイエローカードの状態です。
FX会社に登録しているメールアドレスに通知がきたり、取引画面上で通知が表示されたりします。
例えばSBI FXトレードの場合、以下のような文面でメールが届きます。
アラームのお知らせ
〇〇〇 〇〇 様
お客様のお取引につきまして、証拠金維持率が100%を下回りました。
証拠金維持率が当社規定の50%を下回りますと、全ての建玉が決済(ロスカット)となります。
また、新規注文を発注することはできません。詳細については、お取引画面の「口座状況」をご確認ください。
ご不明な点がありましたらホームページをご覧ください。

仕事中にこんなメールきたら、完全にガクブルしちゃいますね…
その後対処すると、次のようなメールが届きます。
取引必要証拠金不足額解消のお知らせ
〇〇〇 〇〇 様
お客さまにおかれましては、証拠金規制の判定において発生しておりました
取引必要証拠金不足が解消されましたのでご通知申し上げます。取引必要証拠金不足の解消はお取引画面の「口座情報」にてご確認ください。
解消されている場合、「取引必要証拠金不足額」が「-(ハイフン)」の表示となります。
一方、ロスカットは一発退場のレッドカード。強制的にポジションを決済されてしまいます。
FX会社によってはマージンコール自体がなく、いきなり即ロスカットとなる場合もありますので注意が必要です。
FX業者からマージンコールが通知された場合、証拠金維持率を高める必要があります。
各FX会社では、この証拠金維持率をもとにマージンコールやロスカットの基準を設けているのです。
証拠金維持率を高める方法は、以下の2通り。
- FX口座に入金して証拠金を追加する
- ポジションの一部を決済(損切り)する
このとき追加する証拠金を追証(おいしょう)と言います。

「追加証拠金」の略なのに、「ついしょう」じゃないんですね
初心者の場合はむやみに証拠金を増やさず、思い切って一部のポジションを決済してしまうのがおすすめですよ。
以下、マージンコールやロスカットを未然に防ぐ方法についても確認していきましょう!
FXでロスカットを避けるための方法 3つ
ロスカットを避ける方法は、主に以下の3点です。
「損切り」とは、ある程度損失が膨らんでいるときに、それ以上被害が拡大しないよう早めに決済すること。
「損切りができない」のは、初心者の代表的な失敗例として広く知られています。
なんて偉そうに言っているこの私も、初心者の頃はなかなか損切りする決心がつかず、
…というドロ沼にハマった経験があります。

笑っていいのか困っちゃう感じの生々しい体験談ですね
「損切りがなかなかできない」「タイミングが分からない」という方は、「損切りの目安・設定方法は?大損回避のルールをホリエモンに学ぶ」のページを参考にしてみてください。
損切りがうまくできない場合、自動売買(システムトレード)に頼るのもおすすめです。
あらかじめ決められたシステムに従って理性的なトレードをしてくれるため、初心者にとっては資金管理が楽というメリットもあります。
自動売買については「【少額OK】FX自動売買は儲かる?初心者におすすめの始め方とは?」にて詳しく解説しています。
ロスカットを避けるには、証拠金に余裕を持って取引するのも大切。
証拠金に余裕も持って取引すると言っても、「大金を預けた方がいいよ!」という意味ではありません。
預けている証拠金は一部だけ使うようにして、残金を常に残しておきましょう。
初心者のうちはトレードが楽しくてついついポジションを増やしてしまいがちですが、証拠金をフルに使ってトレードしていると一瞬でロスカットされます。
また、レバレッジの倍率を高くしていると、損失が出始めたときにそれだけロスカットされやすくなってしまうのです。

レバレッジを低くするって、具体的にどうすりゃいいの?
レバレッジは自分で計算&コントロールすることができます。レバレッジの詳細・計算方法などは、「レバレッジとは?」をチェックしてみてくださいね。
ロスカットは間に合わないこともある

計算とか面倒だし、最悪ロスカットされてもいい金額で取引しときゃ大丈夫…なんてことはないのかな?
ロスカットも万全な仕組みではなく、相場の急変やシステムトラブルなどで間に合わないケースもあります。
過去にはロスカットが間に合わないことで大損し、借金を背負ってしまった…なんて人も少なくありません。
ロスカットはあくまで最終手段。日頃からきちんと資金管理をしておくことが大切です。
FX ロスカット まとめ
- ロスカットとは、FX業者側が強制決済する仕組みのこと
- FX業者によってルールが異なる
- ロスカットを避けるには、早めの損切りが大切
ロスカットは損失がどんどん拡大していくのを防ぐため、FX業者側が強制的に決済する仕組みのことです。
一見意地悪な制度に思えてしまいますが、私たちの資金を守ってくれる大切な仕組みなんですよ。
ただし、大暴落などで相場が急激に変動した場合、ロスカットが間に合わず正常に作動しないこともあります。
ロスカットはあくまで最終手段のため、日頃から資金管理や損切りを徹底するなどの対策が必要です。